TOP >  生産者を訪ねる旅 > バングラデシュの生産者を訪ねる旅 201...

生産者を訪ねる旅

バングラデシュの生産者を訪ねる旅 2012年の3月30日~4月6日を振り返って

2022年4月に「メイド・イン・バングラデシュ」の映画が名古屋でも上映されました。

「メイド・イン・バングラデシュ」

映画「メイド・イン・バングラデシュ」は、縫製工場での労働環境と賃金の改善に挑む一人の女性の姿を描いた映画。その内容からまずは今の現状を知る手がかりになります。主人公の女性の暮らしの事実を伝える内容です。

身につけるものは、環境に配慮されているのか、作る人の職場や暮らしはどうなのか、安くていいものを手にいれることが”ラッキー”なことなのか、一緒に考えてみませんか?

ゆっころんが映画館で映画上映のあと20分くらいバングラデシュに行ったことなどお話する予定でしたが都合がわるくなり、資料をお渡しすることになりました。→http://huzu.jp/goods/6664/

 

■9月25日(日)タルシルcafe

バングラデシュの生産者を訪問の話をすることになったのでここで振り返りまとめてみました。

9月25日タルシルcafe企画チラシ

 

■2012年の3月30日~4月6日 バングラデシュへのツアー

I LOVE CRAFT  TOUR https://www.youtube.com/watch?v=lYxIrONOf3M

手織り・手染め・手刺繍の衣類を作っているタナパラ村のスワロ-ズを尋ねました。

小売店2店舗とPTと提携している会社2団体とピープルツリー(PT)のスタッフと当時PT代表のサフィア・ミニーが参加

首都ダッカから電車6時間、車でタナパラ村へ近づくにつれて子どもたちの声が聞こえてきました。

歓迎してくれる子どもたち

スワローズThanapara Swallows Dvelopment Society (タナパラ村)

フェアトレード団体ピ-プル・ツリー(東京)は18年前からの取引があります。

当時は30名ほどの生産者。現在は2階建てのクラフトセンターで働く240人の女性たちが手織・染色・刺繍などの生産に関わっています。18年前のおつきあいから比べて8倍にも広がった建物にピープル・ツリー創始者のサフィアミニーさんは、感慨深げでした。

2009年に建ったクラフトセンターは2階建、ゲストハウスや学校も隣あわせです。午前・午後と2部制で300人が通う

学校も訪ねました。生産者の子どもたちは無料。公立の学校に通えない子らも通うことができます。

2022年5月末で締切のクラウドファンディングは、106名参加913、793円

以下はクラウドファンディング土井の応援メッセージより

私は2012年ピープル・ツリーのスタディ・ツアーでバングラデシュの首都ダッカから電車で6時間の田舎、タナパラ村を訪ねました。

手仕事が大切なこと、建国浅いバングラデシュの人達が子どもたちの教育を大切にし、国を良くしていこうという心意気にあふれていることを感じました。

このたび、この学校が存続の危機だと知りました。国の政策で教育補助が出るために、今までスワローズの学校に通っていた子どもたちが来なくなり閉鎖という危機に直面。しかし閉鎖ではなく先のことを考え乗り越えようとしています。

政府の2023年末までの教育費補助の政策がいつまで続くかわからないので、もしなくなった時に子どもたちがスワローズの学校に戻ってこられるようにと、体制を一新するために支援金を募るプロジェクトがスタートしました。

■タナパラ村スワローズ工場内見学

機織り工場内

 

機織り体験

鳩降りは、もともとは力のいることもあり、男性の仕事でしたが、ここタナパラ村スワローズは1971年独立の時に男性は西パキスタンの軍隊にすべて殺されたので、スェーデンのNGOスワローズが女性たちの自立のために彼女らの機織りを始めた。

機織り体験

 

糸つむぎ手作業

草木染

 

草木染

■ツアーの一行歓迎にセレモニー

少女たちの歓迎の踊り

スワローズは、スワローズで小学校を運営しています。公立学校に通えなくなった子供たちにもその機会をあたえ、勉強だけではなく踊りや歌など楽しいことも取りいれ文化の継承にもつながっています。

主役せ字取り踊っている子は、2歳の時に両親をなくし、このためにピープルツリーの援助もあり保育所が建てられたと聞いています。スワローズで働く女性のためにその子供たちを無料で預かっています。

■翌朝 スワローズの小学校を訪ねる

朝礼の時に学校へ行ったら、校長先生自ら体操を指導。私もな らって体操をしていたら、校長先生の後ろで並んで見ていた他のツア-参加の人達 も体操をし始めた。楽しい朝の時間でした。

■2日目滞在の夕方 ボートの旅へ

校長先生は、スワロ-ズ滞在の2日目の夕方、ボートの旅にみんなと出かけた時も 一緒で、その時も太鼓と手押しオルガンを舟に持ち込み、しばし10数人の人達が バングラデシュの歌を4~5曲くらい歌った。

ボ-トの上での演奏 後で歌の内容を聞くと、川の歌あり、カボチャの歌あり、またイスラム教も、キリ スト教も、ヒンズー教もみんな一緒に暮らそう…というような歌もあったようで す。 この舟には、スワローズの代表だったライハンさんも車椅子で同乗。ライハンさん は、どんな思いで川を見ているのかしらと思いました。

このボートの旅でバングラデシュの人達が唱和する姿は素敵でした。こころがひと つで、みんなでこの村をよくして行こう! みんなで子ども達を育てて行こう、み んなでこの国バングラデシュをよくして行こう! そんな気持ちが伝わってきまし た。 今の日本人に5曲くらい歌詞を暗唱し、歌うことができるでしょうか?

■夜 ワークショップ

ワークショップ

坐っているのいは、ライハンさん、右はサフィア・ミニーさん

■ スワローズでの、ゲストハウス

個室を頂きホテルとはまいりませんが、美味しい食事、食後のコーヒー(インスタ ント)なども用意され不自由は感じない2日間でした。水シャワーは、慣れないけれ ど陽が登るころには自然に温水になっています。ベッドには蚊帳もかけてあり、蚊取線香も持参しましたが、虫や蚊に悩まされることはなく、朝夕は過ごしやすいかった。

 

■ワイヘイダさんへのインタビューより

ワイヘイダさん

ゲストハウスに泊まった翌朝7時に生産者さんの家を訪ねました。

その家の女性の名前は、ワイヘイダさん。 彼女とは、その前日仕事場の織りをしていて、ふと立ち寄ったら「やってみる?」という感じで機織り機で織りのま ねごとをさせてもらった人だったのです。

素人が織ったら、あとでやり直しをしなければならない面倒なことを引き 受けてくださった、その人に「 こうしたらいいかとか何か提案はありますか?」と尋ねた時、

「 デザインを良くして、もっ と広めたい」と話された。 写真1 ワイヘイダさん インタビューした私たちは、なにか不満があれば聞きだしたいと思っての質問でしたが、彼女の視野は、我が身のこ とではなく大きかった。

インタビューの様子黒帽子はゆっころん

実際、25年間働いていて(推定45前後)、スワローズのマイクロプロジェクト・プログラムから無利子でお金を借り土 地を購入して家を建て、また4人子どもさんのうち、一人娘の婚礼費用もお金をかりることができた。

寒い時には毛 布の配布もあり、生活の満足感を感じました。「この村に住んでよかったですか?」と尋ねた時は、笑顔で満足して いるという返事。

~彼女の生い立ち~

父を無くし、スワローズで働いていた母親も目を患い亡くなり、 彼女もスワローズで働くようになった。夫は農業。 彼女の1日 朝6時に起き、家の回りを掃き、7時には畑に出かける夫を送り出してから、昼・ 夜の食事の準備をして出かける。9 ~13 時、14~17時までが勤務時間、残業もあるけど、18時くらいまで。

そのやりとりを見るために集まってきた子どもたちとも別れ、朝食に向かいました。

■ディケアーセンター

デイケアセンターは、1月20タカで預けることができる。このセンターができたいきさつは、ある女の子が2歳の時両 親を亡くし、そのためにデイケアセンターが出来た。その女の子は、ツアー一行歓迎の夜、主役で踊った子でした。 とても上手で男の子たちの喝采を浴びていました。

ハンディキャップを持った人には、月10タカで健康保険に入れば、80% の医療費を負担する。 スワローズの雇う基準は、生活に困った人を優先しています。

生産者さんたちの品質管理のワークショッ プ

240人の生産者さんの前で

2012年の旅行の主な目的は、いかに製品不良をなくして技術を向上させるかということ。

製品不良の改善の話のあと、サフィアミニーさんから「注意ばなりだったから、みんなが元気が出る話を」と要請され、手作りの良さを話しているところです。スワローズの女性たち240人の前で、先進国では失われた手仕事の素晴らしさを話しました。

イギリスのスタッフも、年2ヶ月はここに滞在をして指導をしていました。(宣伝に使わない経費はこのような形で生かされていました。)

バングラデシュにある他の衣類制作団体の代表なども集まり、何が原因で製品不良が生まれるのか一緒に考えようと呼びかけていました。何度も停電するような生活のなかで、みんなで暮らしがなりたつように、互いに手をつなぐ姿をみることができました。

~エピソード~こんなことがありました。念のため懐中電灯を持ってトイレに入ったものの、突然真っ暗になり、どこへ置いたか探すのに大変でした。また、ガスもない暮らしで、牛の糞を乾燥させ燃料としています。

このような生活の違いのなか、女性たちは先進国で売られる服をその国の人たちの要求するレベルに応えるべく努力しています。商品開発にあたっては、まず現地の女性たちに何ができるかということから考えていき、一方的に押しつける注文方法ではないと聞いています。

実際、ずいぶん以前ネパールの生産者団体では、よく停電しミシンも使えない状態の時も多く、技術の未熟さもあって、ボタンホールの代わりに紐で閉じるデザインにしたこともありました。

■ファストファッションとフェアトレードファッションの違い

サビーナさん

タナパラ・スワローズに、ラナ・プラザで働いていていた女性がいます。2013年4月のバングラデシュの首都ダッカ近くのラナ・プラザビルの崩壊を覚えてみえますか?

死者1,127人、負傷者2,500人以上。崩れてきた建物や機械にはさまれ、腕や足を切り落とさなければならない人もいました。

このビルの3Fで働いていた。10F を増築中だった。テーブルの下に隠れていて助けられた。ファストファッションの衣類を作る工場と、フェアトレードの服を作るスワローズの違いを語ります。

  • タナパラ・スワローズでは、出稼ぎに行かなくても家族と一緒に暮らせる。
  • ラナ・プラザでは、給料は4000タカで、残業代含め7000くらい。遅刻・欠勤は給与から引かれる。寝るのは夜中になる忙しさ。

スワローズは、出来高制で8000~1万タカ 1着づつつくるので、やりがいがある。家でできる仕事は持ち帰ってできる。

  • スワローズの職場は喜びで満ちている。達成感ややりがいがある。作った服がどんな人々に届くのかを感じられる。仕事に誇りを持っている。

■フェアトレードの衣類の制作の特徴

・手織り、手つむぎ、草木染(または発がん物質を含まないアゾフリーの染料)・酸素漂白(塩素漂白ではない)、手刺繍など、機械(マシーン)より働く機会(チャンス)を作ります。特に女性たちの仕事づくりに力を入れています。

 

なぜでしょうか? 女性たちは得たお金を子どもや家族のために使いますが、男性はたいてい自分のために使ってしまうからです。女性の地位の低い途上国(現在はグローバルサウスともいい、地理的には分けられない、資本主義のグローバル化によって負の影響を受けている地域や人々)の女性たちが経済的に自立することは、彼女らの自信につながり社会的にも大きな力となります。日本でも同じことがいえます。

 

・洋服づくりは、いろいろな分野があり、工程がありますが、それぞれの工程にかかわることで技術が身につき、誇りをもって仕事ができ、いざという時に自立の助けになります。SDGs(人類がこの地球上で暮らし続けていくために2030年までに達成すべき目標)の8番目の目標「働き甲斐」につながります。

 

経済成長も8番目の目標であげていますが、経済成長を求めていては、環境危機を防ぐことはできないと「人新世の『資本論』」の著者斎藤幸平さんは述べています。グローバルサウスやグローバルノースについてもこの本で知りました。日本の30代の若者たちが環境危機に声をあげています。環境活動家の谷口たかひささんもその一人です。

 

一方、大量生産の現場では、限られた一つの工程を毎日することになります。誰がしても同じことをする、機械の一部のような仕事で、人の使い捨てです。

 

・フェアトレードの専門ブランドのピープル・ツリーは、2007年からいち早くオーガニックコットンに取り組みTシャツやアンダーウェア・ベビー服・シーツなどオーガニック・コットン製品をそろえています。他のフェアトレードの団体も竹布など自然素材を利用したり、環境問題に取り組んでします。

余剰糸で織物の村へ

ピープルツリーは、スワローズので織物の余剰の糸を、さらに貧しいひとたちへ手渡し布を織る仕事も生み出しました。その村も訪ねました。家も前には織機が置いてあります。

家の前で織る人

表情が素敵でした。仕事する、仕事がある喜びで満ちていました。

サフィア・ミニーさんと村の女性たち

生産者を訪ねる旅の最新記事