般若心経の訳・宇宙(そら)の約束の詩
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宇宙(そら)の約束
自分の身体のその奥に
確かに確かに座っている
大きな宇宙(そら)の約束が
いつもいつもささやいている
いつかいい日の明日のために、いつもいつもささやいている
忘れないでね
大切なのは
心の目と心の耳をすますこと、そして自分を信じること
むかしむかしのことでした
心の目と心の耳をすましたある人が
宇宙(そら)の約束とつながって
本当のことに気がついた
すべてのものは
どれもみんな
その約束からできている
約束は
目にも見えず
重さもなくて
あるのかないのかわからないけど
でも
宇宙の何もかもが
この約束からできている
「いいことに気がついちゃった」と
その人は
苦しまなくてもいいんだなあ、悩まなくてもいいんだなあと
とても嬉しくなりました
宇宙に散らばっている
たくさんのつぶつぶは
約束のもとにあらわれて
海を作り
山を作り
花を作り
人を作る
約束は目にも見えず重さも持っていないけど
風をそよがせ
雨を降らせ
ときには星を輝かせる
誰かと誰かを出会わせて
誰かと何かを出会わせて
涙や笑顔を作り出す
私とあなた
あなたとお花
お花と
石ころ
みんな同じ
同じものでできている
違うのは
だれもが持ってる約束の
私が私である場所(とこ)や花が花である場所(とこ)に
光があたっただけのこと
スイッチが入っただけのこと
あなたは
私だったかもしれないし
私はもしかしたら
庭に咲くたんぽぽや
降る雪だったかもしれないね
約束は私を作り
私の中に宇宙(そら)の約束が座っている
すべてのものが
約束の中にあり
約束は
すべてのものの中にある
でもね
忘れちゃいけないの
約束には無駄がなく
必要なものだけを
いつもちゃんと作っている
花がそこに咲くことは
それが大切だという証
私がここにあることは
それが必要だという証
宇宙(そら)の約束とつながって
過去と今
今と未来
すべてのことを
見渡すことができたとき
きっときっとわかること
すべてのことは
いつもいつも
いつかいい日のためにある
うれしいことも
悲しいことも
きれいなことも
汚れたことも
増えることも
減ることも
その約束の現れだけど
現れているすべてのことがいつかいい日のためにある
だから思うの
生きていると
いろんなことが
あるけれど
楽しいことも苦しいこと
悲しいことも嬉しいこと
雨や 雪や 月の光が
空から降ってくるように
手をひろげて受けとめていけばいいんだね
怖がらなくてもいいんだよ、悲しまなくてもいいんだよ
だってすべてが大丈夫
すべてがみんな大丈夫
揺れる、歌う、踊る、祈る……
跳ねる、描く、回る、思う……
約束とつながっていく方法はいつも私の中にある
揺れて踊って、飛んで思って心の目と心の耳が開いてく
そして本当のことを知る
さあ明日へ歩きだそう
大切なのは
心の目と心の耳をすますこと
そして自分を信じること
花が咲くように
雪が舞うように
月が照るように
あなたといたい
鳥が飛ぶように
風が吹くように
海が歌うように
あなたといたい
広い宇宙の中で
長い時間の中で
あなたと出会えたこと
きっときっと宝物
星があるように
山があるように
空があるように
あなたといたい
(般若心経 山元加津子訳『宇宙の約束』三五館刊)