原案 「マリヤの賛歌」城田すず子
作 くるみざわしん(光の領地)
演出 岩崎正裕(劇団 太陽族)
くるみざわしんさんより
「自伝『マリヤの賛歌』を残した、元日本軍慰安婦の城田すず子さんの言葉は、泥沼の深淵から立ち返る人間の尊い魂に貫かれ、声をあげるとはどういうことなのかを全身全霊で教えてくれます。
日本軍の性奴隷制度によって被害を受けた女性たちへの熱い思いに満ちています。
どうぞ耳を澄ませて、「私」と一緒に、城田さんの言葉に触れてください。」
金子順子さんより
「『マリヤの賛歌‐石の叫び」の軸は 人間の尊厳に貫かれています」
劇団太陽族 岩崎正裕より
本作は戦時性暴力を告発、或いは糾弾するためだけに作られたものではない。城田すず子さんという一人の女性の、魂の遍歴を描いたものだ。戦地に駆り出され、あまりに多くの土地を転々とし、安住の地を求める城田さんの言葉は、現代を生きる私たちに重たく響く。
それが「口を閉ざせ」と命じる何者かに立ち向かう石の叫びなのだ。舞台に登場する机の上に置かれた石は、城田さんが安住を得た「かにた婦人の村」にほど近い海辺で、金子順子さんが実際に見つけてきたものだ。金子さんはこの石を生涯手放すことはないだろう。演者として「マリヤの賛歌」を手放さない限りは。大阪で2022年に立ち上げ何演も重ねてきたこの舞台が、ネパリ・バザーロさんの招きによって神奈川までたどり着いた。城田さんの果てしない旅にも似て、本作は遠くまで出かけて多くの人びとに「伝える」ことに使命があるようだ。
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2025年6月14日横浜のフェアトレード団体ネパリ・バザーロの企画、昨年に続いての講演企画に参加してきました。
私は、元朝日新聞の記者故松井やよりさんが大好きでした。彼女が新聞に掲載されていたキーセン観光の小さな記事を見てから、2000年12月8日の女性国際戦犯法廷は、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)で開催した民衆法廷までの行動を見てきていて、慰安婦問題には関心を持っていました。
キーセン観光地とは=日本が復興し、海外旅行が再開されると、日本からの観光客に対しても、国営妓生が使われた。1990年代まで、キーセン旅行と呼ばれるほど韓国旅行が風俗旅行と同等の意味を持っていたのはこのためである。ウィキペディアより
なかなか経験の出来ない空間・時間でした。今も金子さんの舞台が頭の中にあります。
また、一番前に座れたのでありがたかったです。
懇親会でもクジで金子さんの隣の席で超ラッキー!
演劇関係には今までほとんど縁がないのですが、何かを伝える表現として同じ空間時間で発信受信する、人間どうしのやりとりだと思いました。
すず子さんの手記は貴重です。帰りの新幹線のなかで、少し手記を読みましたが
皆んなでパンを作る、自立できるように提案していく姿も素敵です。
普段 若い人たちが周りにいないので、今回でかけて、駅でいっぱい見るそれぞれのファッションの女性たちとすず子さんの境遇の違いを思い知る。
一旦戦争になれば、どこでも同じことが起きる。
今回のテーマは、女性のなかでも2つにわかれたということ。知らんぷり、別の人間なんだと思う人がいる。同性同士差別する。
戦争がおきれば同じ。たまたまの違いだけ。
この企画に感謝です。
以下 昨年2024年公演の報告より
まだ戦後は終わっていないのに、日本は戦争への道をどんどん広げています。そんな時に、私たちはどうしたら抗えるか、どうしたらまともな社会をつくれるだろうか、その手段の一つに演劇があるのではないかと思い、「マリヤの賛歌ー石の叫び」を上演して頂きたいとお願いしました。
天羽道子さんにご登場いただきました。シスターの天羽さんは、千葉県館山市の婦人保護長期入所施設「かにた婦人の村」からお越しくださいました。「かにた婦人の村」で城田すず子さんと共に時を過ごされました。
天羽さんは、「鎮魂の碑」ができた時、城田すず子さんが車いすで山の上まで上がってこられて、「みんなここに帰っておいでよ」と言われたことを、今も忘れられないそうです。今日、金子順子さんを通して、その言葉を何度も聞き、胸がいっぱいになられたことをお話くださいました。
また、冒されてしまった人間としての名誉を返して欲しいと訴えてこられた韓国の方々が、名誉が回復されないまま亡くなってしまっている現状、さらに日本の中学校の教科書から「従軍慰安婦」の記述がなくなってしまったことに非常に心を痛めていらっしゃいました。