2022年11月18日 06時00分 東京新聞
「マイナカード+公務員身分証」やめて! 身内の省庁が自ら「直訴」していた
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マイナンバーカード普及のため、政府は中央省庁に対し、国家公務
身分証化を進めているが、一部の省庁が「個人情報漏えいの恐れが
理由で反対していたことが分かった。政府は健康保険証廃止や免許
一体化を進め、民間企業の社員証としての利用を呼びかけるなど普
躍起だが、改めてその説得力が足元から揺らいでいる。
(特別報道部・山田祐一郎)
◆政府内で交わされた「異例な文書」
「政府部内でこんな文書が取り交わされるケースは見たことがない
非常に異例な文書だ」。16日の衆議院内閣委員会で、質問に立っ
立憲民主党の山岸一生氏が文書を示し、政府の見解を求めた。文書
タイトルは「国家公務員身分証の個人番号カード一元化における問
ついて」。政府は2016年から、霞が関の中央省庁でマイナカー
利用を実施しているが、文書はその直前の15年11月、内閣官房
公安調査庁、外務省、防衛省が連名で政府に提出したものという。
文書は、マイナカードを身分証として使用することの問題点として
「紛失・盗難等により、職員の氏名、住所、年齢等を所属省庁とと
把握できる」とし、外国情報機関などが取得したり、一般人がネッ
拡散したりすると「職員やその関係者に対する危害・妨害の危険性
高まる」と指摘。
カードだけでは社会保障や納税などの個人情報は分からないが、
マイナポータルにアクセスすれば閲覧できるため、「個人情報を一
盗まれ、それらを基にした職員個人に対する不正な働きかけに利用
可能性が否定できず、最悪の場合、秘密情報の流出につながる」と
一元化からの除外を求めた。
◆「当時の判断として懸念があった」
答弁した谷公一国家公安委員長は「当時の判断として懸念があった
から一部の関係省庁とともに見送ることにした」と文書の内容を認
その上で、他省庁の運用実態や政府の方針を受けて警察庁でも身分
する方針だとし、「早期に実現されるよう指導していく」と述べた
河野太郎デジタル相は、文書について「先日知ったが、ここに出て
すべての省庁が身分証の導入を決めて、いま具体的な方策を考えて
として「民間にもどんどん活用してもらいたいと思っている」と強
だが、懸念払拭のための具体的な方策は明らかにされなかった。
◆状況変わっていないのに…
「こちら特報部」の取材に山岸氏は「文書の運用を変えたのであれ
何がどのように解消されたのか政府は説明するべきだ。状況が変わ
いないのにカードを国民に取得させるために無理やり不安を押し切
あれば、かえって情報漏えいのリスクを高める」と今後も追及する
政府は24年秋に健康保険証を廃止してマイナカードと一元化する
事実上の取得義務化を進めており、「個人情報の保護は高いセキュ
確保している」と強調する。
これに対し、国家による市民監視の危険性を訴えてきた山下幸夫弁
「文書は、マイナカードに反対する人たちと全く同じ理由を指摘し
普及率を上げるために身分証という安易な方法を取り入れ、内部か
声が上がったということだ」と指摘する。「政府自ら危険性を認識
国民に問題ないと強調するのは矛盾している。文書を提出したのは
いずれも秘匿情報を扱う省庁で、個人の情報とレベルが違うと言い
だろうが問題は一緒だ」
民間への活用を改めて促す河野氏の説明にこう苦言を呈す。「本当
懸念が払拭されるのか。そこにまた膨大な予算がつぎ込まれるので
本末転倒で、カード取得を国民に納得させることはできない」
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