日本のジェンダーギャップ
週間金曜日 2022年 2/18 1365号より
昨年12月に亡くなったベル・フックスこと、グロリア・ジーン・ワトキンズ。
性差別を終わらせるには、資本主義を終わらせるしかないとする「革命的フェミニズム」を明確に提唱しや米国のフェミニズム理論家である。
米国の「ブラック・フェミニズム」を代表する理論家のひとり。グロリア・ジーン・ワトキンズが昨年12月15日に69歳で逝去した。30冊を超える著書。
現行の社会構造内部での女性の地位向上を目的とした「革命」運動ではなく、「家父長的白人優位主義と資本主義と帝国主義とからなる政治システム」の転覆、すなわち「全面的社会変革」を標榜(ひょうぼう)する「革命的フェミニズム」であるという
…例えば
男性労働者にとって、家庭内で性差別的抑圧者として振る舞うことは、職場で彼が被っている階級差別的抑圧(非白人の場合には、これに加えて人種差別的抑圧)の「おおいなる対価」としてある。
「職場での叛乱を防ぐために男性による女性支配を許し永続させることで、「男性う資本家支配者は、男性暴力があくまで労働現場ではなく家庭で発動されるよう仕向ける」すなわち、階級差別的抑圧を維持するために性差別的抑圧が維持されるということ。
そして無論、階級差別的抑圧の維持を必要としているのは資本主義に他ならない。続き。。。。
全ての女性に力があると力強く主張する。。。。
そうした力に基づいて組織される新たな「女性連帯」こそが「革命的フェミニズム」を始動させる。
「性差別が行ってきたのは、女性の強さを抑え込むか、搾取するかのいずれかに過ぎない。その強さ、その力の認識こそ、女性たが皆で解放へと進んでいくための一歩なのだ」。
その一歩が踏みだされたならば、隊列には「性差別によって搾取されても抑圧もされていなが、それのもたらす帰結に様々な仕方に苦しんでいる」男性たちも巻き込まれざるを得ないはずだ。そのようにベル・ファックスは革命を展望したのである。
~革命闘争としてのフェミニズム~廣瀬純(ひろせ・じゅん)龍谷大学経済学部教授
環境危機も資本主義が根本原因で脱却する必要があると、斎藤幸平さんが述べているのを聞いていたが、フェミニズムにも同じことが言える視点に惹かれた。
今ちょうど手にしている本が496ページに及ぶ、史実に基づいたフィクション
柏木麻子著「らんたん」
◎編集者コラム◎ 『らんたん』柚木麻子 より
『らんたん』柚木麻子
著者の柚木麻子さんから、母校・恵泉女学園を創立した河井道さん、そして彼女を支えた一色ゆりさんのシスターフッドを中心に物語を書いてみたい、という話を聞いたのは、五年近く前のことでした。
女性同士のさまざまな関係性のお話を大きな柱の一つとして書き続けてきた柚木さんの手による、明治から昭和戦後期までを実際に生き抜いた女性たちの物語と来れば、読みたくないはずがありません。
立板に水のごとく、著者の口から語られる予告編めいたお話もたいへん魅力的でおもしろく、まるで朝ドラのようなお話になりそうだなあ、と思って聞いていたのを昨日のことのように覚えています。
でも、そこから本作が出来上がるまでには、長い長い時間が費やされました。参考文献は優に百を数え、当時を知る母校・恵泉女学園の90歳近くのOGの方々への膨大な数の取材、さらには身動きのとれないコロナ禍にも見舞われて、執筆も一筋縄ではいかないものがありました。
こうした労苦の末に行間から立ち現れる主人公・河井道という女性は、でも、なんというか、そんなに肩に力が入っている人物というわけではありません。
いわゆる英傑譚や偉人伝に漂う、あるあるな空気を纏うこともなく、読み始めるや不思議と目が離せなくなってしまう等身大の彼女の日々が、じつに丹念、かつ生き生きと描出されていきます。
女が犠牲を強いられ、やがて死んでいくような物語ばかりが世に溢れているのはなぜなんだろう。明るく快活なものを一段低く見る風潮があるのは、どうしてなのか。そんな道が心の底から願っているのは、ただ女性たちがやりたいことをやって、恋愛や結婚をしなくても、友だちに恵まれて夢を叶え、うんと長生きするということだったりします。
それにしても、新渡戸稲造、津田梅子、平塚らいてう、山川菊栄、さらには広岡浅子、村岡花子に白蓮といった「朝ドラ」ヒロインたちまでが名を連ねている本作(ちなみに、他にも紹介しきれないくらいの時代を馳せた著名人が登場します。柚木さんが作った各人物の動きを含めた手作り年表は、じつに畳5畳分!)。気がつけば磁石のように道のまわりにみんな集まって来てしまうのは、なぜなんだろう。河井道という人は、いったい何者なのか。そんな大きな謎を解くようにして読み進めるのも、本作の醍醐味のひとつなのかもしれません。
そして、忘れてはならないのが、彼女を支え続けた一色ゆり。プロポーズされた際にゆりは、結婚の条件として、道と三人で暮らすことを夫となる乕児に突きつけます。元は道の教え子だった彼女が、長い年月のなかで盟友のような存在になっていき、やがて手探りで学園を一緒につくり、育んでいく道程は、本作の大きなチャームのひとつになっています。
物語後半では、戦時協力を強いられた道が大きく心を揺さぶられながら、他界した知人・有島武郎の幽霊との対話を何度も繰り広げますが、それまで見えて来なかった道の心の奥底が詳らかにされて、はっと息を呑む場面が続出します。
長い物語ですが、フェミニズム、ということばが根付いた今の時代と地続きで繋がっていることに改めて気付かされるはずです。
一色ゆりさんの長女で本作にもたびたび登場する義子さんから、とにかく女性が読んで元気になれる物語を書いてほしい、と託された柚木さんの筆が冴え渡る、秋の夜長にお勧めの一冊です。
──『らんたん』担当者より 以上HPより
ー-------------------------------------「らんたん」とは、主人公が留学中での卒業式で卒業生から在校生に手渡されるらんたんのことです。光の光景、光の継承がいまもなお受け継がれている恵泉女学園。
私に蘇ったイメージは、ジャーナリストの松井やよりさんが亡くなったあとに、あちこちに彼女の燃やした大きな炎が、その明かりがいくつかに分かれて受け継がれていること。亡くなられた時は非常にショックでしたが、イメージとしていくつかにわかれて引き継がれる炎をイメージが浮かんできました。
進行の早いがんになったとメールで告知があり、秋には、松井さん自身主催の「お別れ会」に東京まで行きました。驚いたことに予定していた会場に入れきれなく、会場の上にも全国の参加者が控えて、途中で入れ替えをするというほどの人が集まっていました。その年の暮れのお葬式の映像を見ましたが、90代前後のご両親が彼女に「よく頑張ったね」と声をかけていたのを覚えています。
先日あった【オンライン】22/2/14(月)藤田早苗さん講演会の彼女も明かりを受け継いだその一人。講演「世界から見た日本のヒューマンライツ」の講師・藤田早苗さんは、以後イギリス在住で日本でおきていることを英訳して世界に知らせ、国連の人権組織などから日本への提言をしてもらうなどのこと、世界からみた日本の人権問題を全国の学生さんにも講演しています。(英国エセックス大学ヒューマンライツセンターフェロー)
彼女は、高校生の時に松井やよりさんの本を読んで眠れなくなったといいます。
私自身は、いつ頃の出会いか思いだせないけれど、名古屋国際センターで彼女がコーディネーターで、私がパネラーの一人として話した時がありましたが、もっと近づきになったのは淑徳大学での夏季講座で松井やよりさんの3日間講座を、2年連続で受けた時。講座終了後車でお送りしたことがありました。
その後、いつか名古屋で彼女を講師に勉強会したいと手紙など出していたり、東京へ行った時は、アジア資料センターのスタディツアーに参加したいと電話したりしていましたが、その秋に突然のがん告知メールがきた。そんなこと思いだしました。
AWEP(アジア女性自立プロジェクト)のネパールへのスタディーツアーに参加した時も、その時の参加者は松井やよりさんを尊敬していて話がもりあがりました。私もそのうちの一人として嬉しかった。創始者のもりきかずみさんは、松井やよりさんとの親交もあった方です。
国際女性デーとは世界中の女性の権利を守り、女性の活躍を支援するために世界中で祝われている記念日です。国連が1975年から世界に対して女性の権利に対する呼びかけを始め、1977年に国連は毎年3月8日を公式に国際女性デーと制定しました。
3月8日となった理由は、1917年ロシアの二月革命で女性が選挙権を得たという出来事に由来しています。1917年2月23日(ユリウス暦)、ロシアでは女性労働者を中心としたデモ活動が行われ、このデモ活動が女性参政権の制定につながりました。ユリウス暦の2月23日は、今日世界で一般的に使用されているグレゴリオ暦では3月8日。そのため3月8日が国際女性デーとなりました。