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ゆっころんのブログ

グリーンピースジャパンより=いま、映画「MINAMATA」を観るべき理由

ゆっころんも、昨日伏見ミリオン座でみてきました。

20年以上前に、名古屋でも水俣展が科学館で開催されました。沢山の犠牲者の写真もありました。講演会では、杉本栄子さん(故人)のお話しがとても印象的でこころに残っています。

網元の娘として育った、水俣の海での楽しい暮らしを始めてうっとり、晴れやかな顔で語り始めました。

でも家族の水俣病発症から村八分にされた話、雨戸をしめて閉じこもっていても石を投げられる、お米を買いに並んでも自分の番jにくると「売り切れた」と言って売ってもらえない。、、、そんな話に続いてゆきました。一緒に行った友達はず~っと泣きっぱなしでした。

最後に、栄子さんは話のあとで踊りを披露しました。「あれ? 彼女は水俣病ではなかった?」と思ったものでした。いえ、彼女の水俣病でありとあらゆる病状があったけれど、病院の治療では全くだめで、そのあとは自分で薬草などで治してしまったということを、本で知りました。医者に彼女は言ったのです。「先生、薬は庭にありました」と。

水俣・沖縄・福島みんな構造は同じです。

以下、グリーンピースジャパンから届いたメールです。グリーンピ-スの活動は応援したいです。

ジョニー・デップさん製作・主演のハリウッド映画「MINAMATA」が9月23日から日本全国で公開中です。

公開初日に鑑賞して、是非、ひとりでも多くの人に観てもらいたいと思いました。

なぜなら、この物語は決して遠い過去の出来事ではなく、いまも続く、そして世界中で繰り返されている悲劇と繋がっていて、わたしたち一人ひとり、この社会に生きる誰もがその当事者であるという現実を突きつけていると感じたからです。

史実に基づいた物語ですが、ネタバレはないので、安心して最後まで読んでくださいね。

「MINAMATA」とグリーンピース

ところで、今年、グリーンピースは設立50年になります。
発端はアラスカ沖で行われていたアメリカ軍の核実験。甚大な環境破壊につながる行為を自らやめさせたいと決心した人々が、実験場に向けて船で出発したのがグリーンピースの始まりです。

ちょうどそのころ、すでに数々の傑作で名を知られていた報道写真家のユージン・スミス(ジョニー・デップさん)は、公私にわたるパートナー、アイリーン・美緒子・スミス(美波さん)とともに熊本県水俣市に移り住みます。

化学工場の海洋汚染によるメチル水銀中毒に苦しむ住民たちと、加害企業であるチッソとのたたかいを全世界に発信するためでした。

映画の中では、ふたりは水俣の人々にあたたかく迎えられ、順調に取材が始まったかのように思われた矢先、ユージンはチッソの社長(國村隼さん)から、大金と引き換えに撮影をやめて帰国するよう求められます。

ユージン(ジョニー・デップさん)に工場内を案内するチッソの社長(國村隼さん)

あくまで紳士的な社長に対して、一方的に提案を拒否しその場を去ったユージンには、想像をこえた報復が待ち構えていました。
この体験が、ユージンにある決断をもたらすことになり…。

それから50年。
アイリーンさんはその後、グリーンピース・ジャパン理事長を経て、いまも環境保護活動を続けています。

繰り返される悲劇

チッソの責任を追求する市民グループのリーダー・ヤマザキ(真田広之さん)が、大企業と無力な住民との争いに不安を感じるメンバーたちに、こんなことをいうシーンがあります。

チッソの責任を追求する市民グループのリーダー・ヤマザキ(真田広之さん)

“これはこの町だけの問題じゃない。
このままでは、同じことがこの先も繰り返されてしまう。”

当時、水俣の経済は40年ほども前から操業していた化学工場に依存していて、住民の多くがチッソと無関係には暮らしていけなかったという背景がありました。

このシーンは、グリーンピースがとりくんでいる原発問題を思い出させました。
2011年に史上最悪レベルの事故を起こした東京電力福島第一原発だけではありません。
大きな産業=収入源をもたない地方の小さな町につくられたほとんどの原発や関連施設が地域経済を独占的に支配し、環境破壊や住民の健康への不安を圧し殺してしまうのです。

重い水俣病を患う長女・アキコ(若杉凩さん)を「宝物」といって愛する一方で、チッソのトラック運転手として生計をたてているマツムラ(浅野忠信さん)と妻・マサコ(岩瀬晶子さん)、アイリーン(美波さん)、ユージン

人の心と魂の自由が奪われる

映画での、社長がユージンに賄賂を渡そうとするシーンも、各地の原発立地地域や、過去に原発を誘致しようとした地域に住む方々からしばしば伺ったお話と似ているように感じました。

ジャーナリストとしてお金を受けとるわけにはいかなかったユージンですが、大企業に経済的に依存している地域の住民が、個人よりも強大な力をもつ組織と対峙するとき、現時点より数十年先の未来、自分自身より後の世代のことを優先した判断ができる人がどれくらいいるでしょうか。

現実は、言葉で簡単にいえる「正義」よりずっとずっと厳しく、重く、人の心を、魂をも縛りつけ、ねじ曲げてしまう。
そんなときもあるのではないでしょうか。

自ら水俣病を患いながら水俣病の子どもを育てているキヨシ(加瀬亮さん)とユージン、アイリーン

「命より大事なもの」?

社長はユージンにこんな話をします。

“大事なのは「濃度」です。
このコーラの瓶の中にも、招かれざる有害物質が混じっているかもしれない。
でも、ほんの少しなら問題はない。

我々は大金を投じて高性能な浄化装置をつくった。
私自身が排水を飲んで、何も問題なかった。

この工場でつくられる化学物質は、肥料だけでなくさまざまな産業を支えている。
我々は日本経済を支えている。
せいぜい何人かの漁民の主張が、それよりも尊重されなくてはならないはずはない。”

なんだか、原発の汚染水の話にそっくりじゃないですか?

復興のための廃炉を実現するには、汚染水を保管しておけないから海に放出するしかない?
基準値以下に薄めて流すんだから問題ない?
海洋放出によって日本人がその放射性物質から受ける影響は、自然界のそれの10万分の1以下?

ユージンが持ちこんだ水俣病の資料を手にする写真週刊誌「ライフ」の編集長(ビル・ナイさん)と編集部スタッフ(キャサリン・ジェンキンスさん)

誰も無関係ではいられない

さまざまな資源が浪費され、大量生産・大量消費が当たり前で、すべてにおいて経済効率が優先される現代。
どこかで誰かが犠牲を強いられる有形無形の“搾取”は、何らかの形であらゆる人の暮らしに関わっています。
好むと好まざるとにかかわらず、誰もが、環境問題や人権問題をいっさい避けて生きていくことはできません。

ハッピーエンドはまだ先かもしれません。
でも、その道程は無限ではありません。
これはおかしい、間違っている、解決したいと思った人が、できることから行動を始める。
行動する人たちが繋がりあって、力をあわせて、声を上げる。
その先に、きっとゴールがある。

この半世紀、グリーンピースはそう信じて行動してきました。
これから先も、グリーンピースの活動がこの地球上に必要とされなくなるその日が来るまで、行動は続きます。
問題を共有し、ともに歩んでくれる皆さんといっしょに。

工場前での抗議行動を取材するアイリーンとユージン

『MINAMATA―ミナマタ―』
TOHOシネマズ 日比谷他全国公開中
製作:ジョニー・デップ
監督:アンドリュー・レヴィタス 脚本:デヴィッド・ケスラー
原案:写真集「MINAMATA」W.ユージン・スミス、アイリーンM.スミス(著)
出演:ジョニー・デップ、真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子、and ビル・ナイ
音楽:坂本龍一

提供:ニューセレクト株式会社、カルチュア・パブリッシャーズ、ロングライド
配給:ロングライド、アルバトロス・フィルム
2020年/アメリカ/英語・日本語/115分/1.85ビスタ/カラー/5.1ch/
原題:MINAMATA/日本語字幕:髙内朝子
公式サイト:https://longride.jp/minamata/

史実を基にしたエンターテインメント作品ではありますが、映像も音楽も素晴らしく、監督や出演者だけでなく関わった人たち全員が一生懸命、真摯に題材に向かいあってくれたことが伝わる力作です。
コロナ禍で不要不急の外出が憚られる日々ですが、機会があれば、是非、スクリーンで観ていただけたらなと思います。

ちなみに、エンドロールにとても重要な場面があります。
映画が終わってもすぐに退場せずに、エンドロールも観てみてください。

注1)社長からお金を渡される場面、その後のユージンへの「報復」など一部の場面は、映画化にあたって追加・変更されたフィクションです。
注2)記事中のセリフは記憶できた範囲で記述しています。劇中の実際のセリフと異なる部分があるかもしれませんが、ご容赦ください。

ライターについて

サポーター窓口 金海

お問合せ対応やニュースレターの発行などを担当するサポーター窓口。
人権問題や災害復興支援にもとりくんでいます。

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