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外国の消費者のために、無農薬の農産物を作り、そして日本国内では農薬漬け、という一体、それ何? 印鑰(いんやく) 智哉さんのFBより

2020年10月22日 印鑰(いんやく) 智哉さんのFBより
クローズアップ現代「世界でどう闘う?農産物のJAPANブランド」はとても画期的だったと思う。その理由第1。「モンサント文書」。実際に報道されたのは米国のラウンドアップ裁判でのモンサント社の社内文書(1)。モンサントは自社の研究でラウンドアップの人体への危険性は実際につかんでいながら知らせなかった。これがモンサントの敗訴の決定的な理由となっている。もっとも、番組の時間の多くを使っていたのはバイエル社による弁明で、衝撃は大いに弱められているが、実際に白血病になって訴訟を起こした人のインタビューやドウェイン・ジョンソン氏の裁判の映像含めて、流れたことは意義が大きい。
 もう1つは日本政府が掲げる「輸出できる強い農業」の虚像を明らかにしたこと。世界は有機に向かっており、農薬にも強い規制をかけているが、日本は規制緩和という完全な逆行をしている。
 これまでこの日本とその他のあまりに大きなギャップ、マスメディアがほとんど報道することはなく、海外の情報を取る手段のない人にとってはまったく世界から隔絶される状況が続いてきた。それが貿易という観点からではあるが、その違いが報道されたということの意義はまったく大きい。
 本来ならば、世界の各地域の食生活の比較でなされるべき事柄だったと思う。でも今の日本はすべてがビジネスにされる。わたしたちの日常の食からではなく、農産物が輸出できない、ということでの海外と日本の対比という設定になってしまったことも今の日本の状況の反映と言えるかもしれない。
 外国の消費者のために、無農薬の農産物を作り、そして日本国内では農薬漬け、という一体、それ何? という問題設定なのだが、鈴木宣弘さんは学校給食など国内の地域の食をよくすることがまず先で、それができることで輸出もできるようになる、と番組の本末転倒したテーマをひっくり返すコメントを最後にされていた。
さすがである(コメントで書いたけど、言論の自由のない日本という現実の中でこの問題を放映することができたのはこの番組のプロデューサーと鈴木宣弘さんならではの奇跡かも)。
 日本のわたしたちの食を問題にしてほしい、と言いたいところだけど、でも、日本の農産物が輸出できない、ということから、今の日本、おかしい、ということに気がつく人が増えていくことでもいいだろう。その点、今回のクロ現の報道は価値があると思った。
 地域の食のシステムを変えていくためには、消費者の生産者への連帯行動、そして政府の生産者支援政策が不可欠である。地域の農家を支える政治、消費者の支援、そして有機農業を効果的に行う技術を持った人たちの技術の普及の支援、これらが揃えば、日本にそれができないはずはない。
【参考情報】
(1) よく「モンサント文書」と言われるものはEUの農薬などの規制を行う機関EFSAのグリホサートの評価書のことを指す。グリホサートが人体に影響がない、という部分はモンサント社内文書のコピペであることを暴いたことで世界的な大スキャンダルになった(日本では報道はされていないかも)。これが報道されたらすごい、と思っていたのだけど、これには言及されていなかった。
 モンサント文書については以下参照
(2) 添付したのは農水省の委託事業で主要輸出先国・地域の残留農薬基準値調査を調査したものの米に使われる農薬の国別残留基準値の比較。赤いところは日本より基準が厳しいところ、つまり世界はほとんど日本より基準が厳しくなっているということ。米以外も同様の傾向で、すべてのデータは以下からダウンロード可能。
(3) 世界でどう闘う?農産物のJAPANブランド~求められる新戦略~

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