桐野夏生さんの本、3冊目 読み終えた。「ナニカアル」
林芙美子の『北部部隊』の冒頭の詩からの題名
「ナニカアル」不思議な構成の本だった。
戦争の時代に生きるって本当に怖いと思った。初めにも、あとがきもない本。図書館でみつけ2冊借りてきたうち1冊。内容を全く知らずして読み始めた。
手紙形式のプロローグではじまり、林芙美子の回顧録とも小説ともわからないという設定で林芙美子の語りで物語がはじまり、最後はまた手紙形式でこの回顧録とも小説ともわからないものは焼却するという結末。
著者の参考文献は66冊。実在の女流作家が名を連ねている。私は本は読まなかったので知らない作家も多い。今回「放浪記」を読んでみようと思った。
他にも文中にあった気になる「麦と兵隊」火野葦平
「生きてゐる兵隊」著者 石川達三は兵隊の残虐行為を描いたために有罪になった。
「良人の貞操」吉屋信子
なにが始まるかわからないままに、プロローグの次の始まりのページに、『「戦争は反吐がでるほど怖ろしい」というのが実感である。』で始まっている。
林芙美子は、昭和17年に陸軍の嘱託となり、インドネシアに長く居た。軍に駆り出された作家は、一切の日記や記録をつけることを禁じられた。
“ペン部隊”なるものがあったのだ。陸海軍とも小説の力を戦争に利用したという。
作家も映画監督も絵描きも、誰もが徴用されて南方や満州へと派遣された。そして軍の都合のいい情報を国民にもたらしたその手先とならざるを得なかったということを初めて知った。
先回読んだ「日没」もそうだけれど、自由を奪われ他の人の言うなりにされる恐怖が物語ゆえに疑似体験的に伝わってくる。
「日没」あなたの書いたものは、良い小説ですか、悪い小説ですか。小説家・マッツ夢井のも とに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。
権力者は醜聞や犯罪、人の弱みを掴んで利用する。現在でも映画「スノーデン」にあったように、今はコンピューターで一人の人の情報を万という単位で集め弱みを掴み利用することを知った。
「スノーデン」アメリカ政府による恐るべき情報収集を告発したエドワード・スノ ーデン。軍への入隊から情報機関の活動に不信を募らせて命がけの告発を行うまでを描く実話物語。「スノーデン」の映画は実話ゆえに情報を持ち出す場面にすごいスリルを感じた。自らの人生を信念によって投げ出すスノーデンの実行力に敬服。「スノーデン監視大国日本を語る」という本もある。マイナンバーでさらに拍車か?
文中より「要は 睨まれたらおしまい」
「国家に一度疑われた人間はもう二度と浮上できない。」そんななかで生きていた林芙美子
今を生きる私たち
世界の憲法学者の憧れという 日本国憲法 を守りたい!
秘密保護法も、共謀罪も、経済安保法(特許の秘密)も、