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ゆっころんのブログ

トセパン協同組合(メキシコ)2007年訪問記と「センブランド・ヴィダ」へ

2022年7月31日 タルシルCafe ゆっころんの訪ねた旅 その1

7月31日企画チラシ

メキシコのトセパン協同組合を報告するにあたって、以前の資料を取り出しまとめてみました。

トセパン協同組合の40年以上にわたる活動と実績が、2018年新しい大統領の誕生に伴い、森林農法(アグロフォレストリー)を軸にトセパンをお手本として「センブランド・ヴィダ」と呼ばれる植林プロジェクトがメキシコで展開されている。

■2007年10月 メキシコへ■

2007年10月に企画されたトセパンを訪れる旅、それはトセパンの30周年、ウィンドファーム20周年を記念してのツアーでした。

ちょうど15年前、日本から14名参加(大学の先生・80代の女性、ラブランドの明石さん=東京の飛行場で「あら? あなたも?」って感じでした。)

30周年記念ということで、記念にまぐカップを頂いたり、大きな気球を膨らませ、そになかに松明(たいまつ)をいれて空高く飛ばすイベントや、直径1m以上ある鳥の羽のような円形のものをつけての踊りをみせてもらったり

お祝いの集まりではコーヒーは泡たてたミルクで絵を描くデコレーションコーヒーが出されていた。団体訪問もあり、お祭りイベントもありで楽しい旅でした。

トセパンのパッケージ

トセパンのコーヒーなどにある花を抱えた白い民族衣装の女性は、男性が数人でも集まることを禁じられた時に女性たちが活躍したことに由来しているのでしょうか?素敵な絵です。

首都メキシコシティーから車で6時間かけて現地へ向かう。町の中は車が混んでいた。途中バスが曲がるところに車が止まっていて回れない。近くにいた人たちが車を持ち上げ通れるようにしてくれた。途中子どもたちのいる施設へ寄ってお昼を頂きました。

以下は、「エコロジーの風」13号 2008年6月発行掲載に加筆して紹介

「希望の種、森を育てるアグロフォレストリーの森を訪ねて」 土井ゆきこ

■参加するきっかけ■

2005年6月にトセパン協同組合のアルバロさんと、生物学者のパトリシアさんが来日の折、名古屋での講演会を受け入れました。そしてその話を聞く機会を得ました。トセパンの活動が、アグロフォレストリーという伝統的な方法でコーヒーの木育てながら森を育てること、子どもたちみ環境教育を独自にしていること、銀行をつくり地域でお金を回していること等を聞き、とても興味を持ったことが始まりでした。

是非、メキシコに行きたい、トセパンの活動を見たい、コーヒー農園を訪れてみたとその講演を聞いた時に思いました。2年後の2007年10月に企画されたこのツアーに参加できたこと本当に嬉しいです。

~今回のメキシコツアーは、期待以上の充実したものでした~

■トセパンに到着■

お出迎え

首都メキシコシティから約1日かけてトセパンに着いたの夜8時半過ぎ、予定より数時間遅れて誠に申し訳なかったと思います。待ちくたびれたことと思います。白い民族衣装の女性たちが歓迎のお香を焚いてレイもかけて頂きました

 

歓迎の食事のあとに出されたコーヒーは、クリームで絵を描いたおしゃれなものでした。商品の陳列された棚も竹でつくられていました。

 

 

レイをかけて Wellcomeメッセージ

 

トセパン・カリ(宿泊施設)

地域産出の竹と石でできた「トセパン・カリ」というエコツーリズムに基づく宿泊施設は山の中、それぞれのキャビンにたどり着くまでの道にともされたゆらぐ明かりがロマンチック、部屋も竹も素材がいかされ、また現地の画家の絵が飾ってあり、先住の人達の暮らしや祭りの様子をみることができます。

アトリエ訪問

 

画家故グレゴリオ・メンデス・ナヴァさん(2022他界)

 

素敵な施設でここちよい空間を頂き幸せでした。

 

一棟のキャビンには個室があり(2人部屋くらい)真ん中には人が集う場所もある。

 

ベッドにはWellcomeのメッセージが置かれてあり、シーツは希望があれば取り換えるという伝言もあり。今では日本のホテルでも常識になっているかもしれないけれど

15年前のトセパン・カリではすでにこのようであり、排水も植物をろ過し流すという環境配慮は進んでいました。

■トセパン滞在の1日目■

ケツアーランの町にあるい「トセパン・トミン(みんなの銀行という意)」という組合の銀行を訪問して活動の説明を受けました。

トセパン・トミン(みんなの銀行)

その間にも民族衣装を着た女性が子どもさんを連れて銀行の窓口を訪れていました。

 

利用する人のことを考えて、日曜日でも営業しているということです。銀行側が高い利息を払い(13%)市民が借りる利子は低いというまれな銀行です。

 

お金は資金と考え、持続可能な社会をつくるためのお金の有効利用は欠かせないという。

町でのローカルマーケットはとてもにぎわっていました。食用サボテンも売ってました。

町歩き

ラッキーなことに教会の広場で「ポラドーレス」というダンスの一種をみることができました。

高いところへ登る人

教会の高い塔のたかさぐらいの木のまわりで笛や小さな太鼓を鳴らしながらひととき踊り、

その木に7人が登っていきました。そのうちの4人は木のてっぺんに巻き付けてあるロープを取り、自分の体に巻きつけました。儀式のように笛太鼓がしばらく上から鳴り響き、そのうちに4人が四方に逆さになって飛び、遠心力で互いの力が作用して、遊園地の空中ブランコのように高い木を中心に回りながら降りて来る。

 

 

やがて二人のひとが回転を止めりうために、てっぺんから綱を降りてきた。高いところ見上げていたので首がだるくなるほど、ハラハラどきどき、すご~い技でした。

市場の教会前でみたボラドーレスは、深刻な旱魃(かんばつ)を終わらせるために神に懇願する儀式、ユネスコ無形文化財。

トセパン滞在中に、たにも鳥の羽根を思わせる美しい円形の飾りを頭につけ、笛太鼓で踊る伝統舞踊や

クロスした四方の木が地上に仕組まれ、その木に4人の人が捕まり互いの重力でぐるぐる回るこの芸もケツアールダンスの一種で、クロスした十字形は天体の動きを表現していることなどの説明がありました。

クロスの木に捕まる人

 

これら伝統の踊りは、天や地やそこに住む鳥たちにつながる思いの表現であろうことから、森を育て、守ることと同時に、人々が文化を継承しながら誇り高く生活していることを思い知りました。

■トセパン滞在の2日目■

組合員さんが会議したり、食堂があり、図書室やパソコンをするなどの施設が山の上にあります。そこをナワット語で「魂を解き放つ場所」といいます。

そこで(2007年現在で)トセパン30周年、ウィンドファーム20周年の式典があり、山の中を2時間歩いてコーヒー生産者の人も参加。美味しいカプチーノコーヒーを順番待ちして楽しんでいました。

松明を燃やして、その暖かい空気をいれることであげる大きな大きな気球も高く高く舞い上がっていきました。

気球

この気球をいくつも作るのに相当な時間が費やされたと思います。

 

手塚治虫の「火の鳥」のモデルとなった

ケツアールは、世界で一番美しい鳥、その鳥の名前に由来する地名ケツアーランに住む人々の空への憧れを感じました。

■トセパン滞在3日目 いよいよ森林農法の森へ■

手の届く果物はそこでほうばる楽しい森の散策は、30年前は馬を飼っている牧草地の説明を受けました。それが今では立派な森になっている。熱帯雨林伐採後の単一食物栽培のプランテーションと対極的な農園。

農園にて

研修施設のある建物近くの試験農場も、もとはサトウキビ畑。栽培のため森林を伐採してサトウキビが作られ、蜜を煮詰めるために更に木が切り倒されれる状況から、すこしづつ森林農法(アグロフォレストリー)の中でのコーヒー栽培へと移行していったそうです。

試験農場にて通訳の井上さんとレオナルドさん

 

シナモン採取

コーヒー工場も見学

 

 

記念のコーヒーの苗木植林

■4日目フィールドワークで洞窟体験■

先住民の信仰の場でもあった洞窟の見学をしましたが、そこで聞いた話は、よりトセパンの活動理念を知るものでした。

その洞窟は以前、ゴミ捨て場となっていて下の村へ流れる地下水を汚染していたのでその洞窟付近の土地を購入し、ゴミを運びだして、神秘的な洞窟があるのでした。

またその前日もコーヒーなどの苗床作りの現場と、蝶の保護飼育をしているところを案内され、蝶の保存と受粉をい促すために箱のなかでさなぎを蝶にかえらせ、ネットのなかで蝶を放ち、卵を採集した後、森にかえしているという活動も聞いたばかり

針を持たない地バチの種保存飼育を含め、

針なしミツバチの巣(素焼きの壺)

地球環境を見据え、自然生態系を守るこの行動力に「このような行動をする団体があるのいだ!」と私は大いに心をうごかされました。

■5日目最終日の意見交換■

アルバロさん

互いに振り返りをしました。2年前来日したアルバロさんは言いました。

「どのように世界が変わったらいいのか?

クレージーな人がいなければならない。

クレージー残党、一緒に夢を見よう! 将来像を描いて、組合が発展寄与できたらいい! 戯言、独り言の繰り返し、これを密につなげていく。先を見る一点、たわいもなく言い合って、交流の場を持ち、関係を深めていけたらいいと思う。コーヒーを通じてより深く知ることができよう」

ウィンドファームの中村隆市さんによれば、

中村隆市さん(真ん中)

アルバロさんは牧師さんになろうとした人でナワット族出身の人ではない。今回中心的に案内をしてくださった技術指導者のいレオナルドさんも外部の人と聞きましたが、トセパン協同組合を起こした、ドン・ルイスさんはじめ、このような人々の夢見る行動が、私にひたひたと、また力強くエネルギーを注入しました。

やっぱり夢を見続けよう! このような思いの人たちが現実に存在するのだから。

緑いっぱいの、人が自然生態系の一員として暮らしていける世界を夢みて私は私にできることを日々積み重ねていきたいと改めて思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下 中村隆市さんのブログより

トセパン協同組合に初の女性リーダー誕生!

トセパンコーヒーやハチドリコーヒー、カフェインレスコーヒーでお馴染みのトセパン協同組合が設立40周年を迎えた2017年、トセパンの歴史で初めて女性の代表が誕生しました。これまで自然と共存する先住民文化を大事にしながら、森林農法によって有機農業を広めてきたトセパン協同組合は、女性の自立も大きな目標の1つと考えて女性の社会進出を後押ししてきました。そのトセパンに女性のリーダーが誕生したのです。彼女の名はパウリーナ(パウリーナ・ガリード・ボニージャさん)。
中央がトセパン協同組合の代表に選ばれたパウリーナさんトセパンでは、6年に一度、組合の代表を決める投票が組合員によって行われます。
パウリーナさんは、子どもたちの教育支援を目指すトセパン基金を提案した人で、これが多くの人の評価を得ました。

トセパンでは、組合内に自らの学校を設け、言葉、文化・伝統、宇宙観など先住民としての教育と、国の教育カリキュラムを合わせた独自の教育プログラムを行っています。自然を大切にする農業も教えています。そして、これを充実されるために設立されたのがトセパン基金でした。これまで、トセパンの学校や教育活動の運営には、組合の主な活動であるコーヒーやオールスパイスなどの生産・販売によって得られた収入が使われていました。しかし、数年前に鉱山開発の問題がピークに達し、開発の危機が間近に迫りました。その時、「たとえ開発が強引に進められてコーヒー栽培が出来なくなったとしても、なんとかして子どもたちの教育は守りたい、学校だけは残したい」という強い思いから、学校の自立運営を目指すことを提案したのがパウリーナさんでした。今回の代表選での公約にも学校の自立運営を掲げ、これが多くの人から賛同を得ることとなったのです。
トセパンの小学校

トセパンと子どもたちの未来を考え、子どもたちの教育の重要性を改めて皆に示したパウリーナさんの提案は、女性ならではの視点ともいえる重要なものでした。
小学校での農作業の授業

トセパン基金は元々、教育を充実させるために設けられた非営利団体ですが、今年9月のメキシコ中部地震以降、被災地を支援するプロジェクトの窓口としても機能しています。ここを窓口に、トセパンではメキシコ政府の手が届かない貧しい被災地に仮設住宅を建設する支援プロジェクトを展開しているのです。

トセパン基金を通じ、自分たちの組合の未来を作る子どもたちだけでなく、トセパンと同じく先住民が多く暮らす地域の未来を作るための活動に取り組むトセパンの人たち。そこには、いつものように彼らの「助け合い」と「分かち合い」の温かい思いが強く感じられます。

これからパウリーナさんを中心に進む女性ならではの活動と、今後のトセパンの取り組みを私たちスタッフもとても楽しみにしています。

*現在ウインドファームでは、トセパンの地震被災地支援プロジェクトである「竹の仮設住宅建設」へのご支援を募っています。頂いたご寄付は「トセパン基金」へ送らせていただきます。ご支援のほどよろしくお願い致します。
詳しくはこちら→トセパン基金寄付

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