「バナナと日本人」~「高地栽培バナナと日本人」を考える
■6月19日 フィリピンからバナナ生産者来日 名古屋YWCAにて
「バナナと日本人」初版発行: 1982年8月著者: 鶴見良行 岩波新書が増版重ねて37年。
フィリピンからバナナ生産者が二人来日しました。
ジャミラ・セノ(女性)さんと「ナマスファ」のポール・ジョン・ディゾン委員長(男性)さん
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フィリピン・ミンダナオ島 バナナ労働者の声を聞く今、バナナ生産現場で起こっていること
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日本が輸入するフィリピン産バナナの大半は、日系と米系の多国籍企業が経営するミンダナオ島の大規模なプランテーションで作られています。
1980年代から90年代にかけて、大量生産のために投入される危険な農薬がバナナ労働者の健康を蝕むだけでなく、消費者である日本人の健康をも脅かしていること、労働者は低賃金で過酷な労働に従事していること、待遇改善の要求が暴力で押さえ込まれていることなどの実態が明らかになり、多国籍企業への批判が高まったことがあります。
その後、経済のグローバル化を背景に拡大する多種多様な輸入食品の陰に隠れて、バナナの問題は人々の関心の表舞台から姿を消していました。ところが、近年再びバナナの生産現場の問題が浮上してきました。
日系バナナ事業者「スミフル(旧住商フルーツ)」が経営するバナナ農園の生産工程の一つであるパッキングプラント(洗浄梱包工程)で働く労働者が、労働の安全確保と待遇改善を求めて声を上げました。しかし、組合に参加した労働者たちは脅迫や暴力に晒され、家を焼かれ、組合を辞めろと脅され、さらには殺された者もあります。
現在フィリピンのバナナ生産の現場で進行している過酷な労働環境と低賃金による人権侵害の実態について、バナナ労働者2名から話を聞き、私たちに何ができるか考えます。』
との案内でゆっころんも参加してきました。
思ったより若い人が組合の代表でした。自宅が焼かれ隣の事務所も焼かれ、組合活動に熱心な仲間が殺されるなど,大変な状況のなかでの、こうした日本への訴えなどナマの声を届ける勇気にこころうたれました。
もう一人の女性は、小さなお子さんをもったシングルマザーで、マニラへ抗議の遠征する行動にも参加しています。その間9ヶ月も無報酬です。報告の間にも、つい涙ぐむ姿もありました。
■フィリピン最高裁の判決(2017年6月7日)に従わない日本の商社
スミフルフィリピンと労働者の間に雇用関係を認めた、フィリピン最高裁の判決後もその間・銃撃・殺人・放火など暴力的な事件が相次ぎ、他の組合員にも脱退するように脅迫を受けたりもしている。
2018年11月27日300名以上のバナナ農園の労働組合NAMASUHA組合員が遠征し、マニラでの国家人権委員会(CHR)敷地内で抗議を継続。
このふたりの来日があってか6月18日「住商 フィリピンのバナナ生産から撤退 株式売却へ」と6月30日日本経済新聞に掲載されていました。たとえ株式売却したとしてもドル箱だから簡単には手放さないということも耳に入ってきました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46267980Y9A610C1TJ1000/
「住友商事は18日、フィリピンでバナナを生産するスミフル・シンガポールの保有株式を全て合弁相手に売却すると発表した。同社は日本市場の3割のバナナ輸入を手掛けており、同社のバナナは「甘熟王」のブランド名で国内スーパーで販売されている。売却額は非開示で、9月までに売却を完了する予定。……………..
19年3月期には純利益ベースで15億円の取り込み益をスミフル社から得ていた。……………….」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190708-00290826-toyo-bus_all&p=2
スミフルの労働問題は、日本を代表する企業の人権問題への姿勢の一端を浮き彫りにしている。
■今よくスーパーで目にする高地栽培バナナとは?
2000年以降、高地にプランテーションが続々と開発され、そのほとんどが日本へ。高地での土地所有者は先住民の人々。個人の土地を超安く借りてプランテーションが開発されるので居住地域に隣接。
生物多様生の豊かな環境保全地区や水源涵養地域とも重なる。農薬の空中散布は、小学校の通学時間に重なり、音がしたと思ったら数秒間で軽飛行機が通過、農薬の飛散でバスケット・コートなど黄緑色になるということです。例え散布告知があっても空中から散布では逃げきれないのと、「ブームスプレーといってトラックから圧力をかけて農薬をかける時間も、告知通りにしない」と来日した二人は語る。
■農薬カクテルと防具
「農薬カクテル」とは、数種類の農薬を混ぜたもので、中身が何であるか正確にはわかっていない。
バナナ栽培に使われている農薬は、殺菌剤・防虫剤・除草剤など約220種類にのぼり、空中散布やブームスプレーの他、実に大きなビニール袋が保護のためかけられますが、その袋には殺虫剤が練り込まれ、クロリピリホスは有機リン系の殺虫剤で、国内では白蟻駆除剤として使用されてきたが、シックハウス症候群が問題化した2013年居室を有する建築物への使用が禁止された。そうした農薬がバナナの実と接する形で使用されている現実があります。
厚生労働省の残留基準を大きく下回っているのも事実ですが、産地では非常に高い濃度の農薬を扱っているのも事実。(資料:DEAR開発教育協会February2018)
今回来日の生産者の労働環境では、「防具の提供が不完全であったり、換気が不十分。適正農業規範に関する国際規準の視察がある際には防具が配布される。生産量が多い時は休日がないケース、食事時間やトイレ休憩も不十分」とのこと。
■わたしたちに何ができるか?
日本の商社だけではない。ドール・チキータ・デルモンテなどの多国籍企業も同じことが起きている。まずは知ること。私たちが手にする食べ物がどこでどうやって作られているのか、作っている人に思いを馳せること。そして行動すること。フェアトレードのバナナ「バランゴンバナナ」を通じてこのことを、今年の秋の学祭ではこのバナナをテーマにすることを提案してゆきます。